情報子概論 Ⅱ-3. 模倣子とは何か?

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Ⅱ. 情報の本質『情報子』
3. 模倣子とは何か?

最初に模倣子(ミーム)という概念を世に広めたのはリチャード・ドーキンスである。彼は著書『利己的な遺伝子』の中で「模倣子は文化の伝達や複製の基本単位である。」と記している。(※1904年にドイツの生物学者リヒャルト・シーモンが「ミネーム」と言う概念を提案しているが早過ぎて普及しなかった)

つまり模倣子は文化(情報)が人間から人間へ伝達される過程を、遺伝子の伝達と同様な視点で論じるための画期的な概念のことだ。模倣子という概念は、リチャード・ブロディ[1]『ミーム―心を操るウイルス-』でも取り上げられている。ブロディの定義はドーキンスの定義よりも広義であり、模倣子に関する書物を記す上で実用的である。ゆえに今後は模倣子に関してはブロディの定義を使用する。

ブロディによる模倣子の定義
「模倣子とは、心の中の情報の単位であり、その複製が他者の心の中にも作られるように、様々な事象に影響を及ぼしていく」

模倣子の具体例
宗教、儀式、挨拶、禁忌、慣習、冠婚葬祭、言語、文化、国家、国境線、緯度、経度、太陽暦、太陰暦、西暦、時刻、通貨、旋律、設計図、流行、キャラクター、スポーツ・・・など他たくさん。

ブロディが人間の心(精神)について触れていたので、ここで精神について考察する。精神の正体が何であり何処に在るのか現代の科学でも解明されていない。しかしながら、霊や魂と呼ばれているような、肉体とは異なる超存在としての自己(自我)については疑問がある。おそらくは脳内(特に大脳新皮質)のニューロンのネットワーク構造によって形成された立体パターンとして、自我が在ると考える方が筋が通る。精神とは、ある種の情報集積体であり、それは細分化不可能な個として存在するのではなく、あくまでも物理的な構造そのものとして存在しているはずである。物質を極小単位まで細分化すると時空間上の磁場の揺らぎしか残らない。それならば精神もまた細分化してしまえば何も残らないのではないかと考えられる。

[1]リチャード・ブロディ
元Microsoft社員で世界的に普及したWordの作者の一人、スペルチェック機能は彼の発案によるもの。現在はプロのポーカープレイヤーとして活躍している。

話を模倣子へ戻そう。ともかく模倣子は人間の脳から脳へと繁殖・複製・適応を繰り返していく。その振る舞いはまるで遺伝子のようだ。それは遺伝子と模倣子の本質が情報であり、両者がアーキタイプにおいて完全に同一のモノだからであろう。それ故に次節において両者を包括する概念を提案する。

(ブログ追記 2012/11/27)

リチャード・ドーキンスは、イギリスの動物行動学者であり進化生物学者。『利己的な遺伝子』をはじめとする一般向けの著作を多く発表している。存命の一般向け科学書の著者としてはかなり知名度の高い一人である。上の動画はドーキンスが「奇妙な宇宙」について語った日本語字幕付きの映像。とても面白いです。「科学」は発信者と受信者の共同体によって発展する社会的なモノだから、誰もが興味を持ちよく分かるように語ることは重要です。

 →情報子概論 Ⅱ-4. 情報子というフレームワークへ続く

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