情報子概論 Ⅲ-5. たまごの殻と「進化のふち」

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情報子概論 Ⅲ-4. 自然淘汰圧力と進化へ戻る

Ⅲ. 情報子とエントロピー増大則
5. たまごの殻と「進化のふち」

自然淘汰による漸進的な環境適応の分かり易い例は、ニワトリのたまごの殻だ。陸上生活をするニワトリのたまごの殻には、ヒナになる内部構造を乾燥や捕食者などの脅威から守る目的があるので、できる限り堅くしっかりとしていなければならない。しかしその一方で、たまごの中で成長したヒナがくちばしで破壊できないほど堅くなってしまっては、ヒナがたまごから出てこれずに死んでしまう。それでは次世代に遺伝子が残せない。(誤解のないよう補っておくが、たまごの殻の強度が1個1個で異なるのではなく、親鳥1羽1羽の自分が産むたまごの殻の強度を決定する遺伝子の差異がここでのポイントとなる。)

ニワトリのたまごの殻の強度(を決定する遺伝子)は、常にこのギリギリの状態で「進化のふち」にある。どちらか一方に偏ってしまうと、バランスを崩して、ふちから滑り落ちて破局してしまう。

現時点は進化の到達点ではない。進化に究極はない。現在の我々の形質は過去と現在の自然淘汰圧力によってつくられたものだ。情報子に対する自然淘汰圧力が変化すれば、生き残れる情報子も変化する。たまごの殻に限らず、我々の内包している情報子は常に「進化のふち」にある。

ブログ化の際に追記:
もちろん現人類にも進化(退化)による環境適応は続いている。例えば日本人は小指の関節が一つ少ない人が多い。さらには薬指の関節が一つ少ない人もけっこういる。(→参考レントゲン写真とブログ) 靴を履く文化になって小指と薬指の関節が不要になったから退化したという説もあるが、欧米人の方が靴化が早かっただろうから日本人に多い説明になっていない。経営学の言い回しになってしまうが、部位の退化は「経費削減による利益率の向上」によって生存競争で有利に働く場合もある。

信憑性は未確認だが英デイリーメールには「男性は現在も進化の過程で性的魅力が増している」というシェフィールド大学チームの研究結果も紹介されている。女性の方での進化を取り上げると「1億色を知覚できるスーパーヴィジョンを持った4色型色覚者」が女性には潜在的に12%くらいいるだろうとされている。

これらの進化に共通する点は「外見的に不利にならない部分で生存に有利になるよう進化している」ということだろう。「人間社会」も情報子にとては環境圧力のひとつだ。仮にどれだけ生存に有利な進化が起こったとしても、それによって外見が極端に変貌してしまうと配偶者を得られず繁殖できないので淘汰されるということかもしれない。進化が漸進的になる理由はこのあたりに鍵があるような気がする。


(4色型色覚者の観る世界はもっとカラフルなのかな。)

 →情報子概論 Ⅲ-6. 情報子の自己保存特性へつづく

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