情報子概論 Ⅳ-1. 社会学ダーウィニストたちの過ち

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Ⅳ. 情報子進化の具体的事例
1. 社会学ダーウィニストたちの過ち

「人類史上最も多くの人間を殺した科学者は誰か?」という問いに対してあなたは誰の名前を挙げるだろうか。ダイナマイトを発明したアルフレッド・ベルナルド・ノーベル? マンハッタン計画でリーダーシップをとったジュリアス・ロバート・オッペンハイマー? 

他にも細菌兵器や化学兵器を生み出した科学者は大勢いるが、この質問への答えとしてチャールズ・ダーウィンと答える人もいるのだ。それはなぜか。「環境に適応した勝者のみが生き残り、敗者は自然淘汰で死滅する」というダーウィン進化論を人類社会に当て嵌めた社会学者たちは、やがてドイツ優生学を生み、ドイツ優生学はアドルフ・ヒトラーをリーダーとしたナチズムを生み出した。そしてナチス政権下でユダヤ人のホロ・コースト(大量虐殺)が行われた。しかしこれはダーウィンには全く責任の無い言いがかりだ。この原因はダーウィン進化論を間違って解釈(※つまり情報子の複製エラー)してしまった社会学ダーウィニストたちにある。

多くの人が「進化」という言葉の意味をはき違えている。「進化」とは種がより優秀で高等な存在へ至ることだと勘違いしている人が多い。だが「進化」はそうではない。生き残っていくのは優秀な人間の遺伝子ではなく、自然淘汰圧力を上回る子孫を残した人間の遺伝子である。どんなに優秀な人間であっても、その人間が同性愛者であった場合にはその人間の遺伝子は次世代に保存されない。同様にどれだけ無能であってもとにかくたくさんの子どもを生むことに成功すれば、高確率で次世代に自分の遺伝子を保存することができる。「進化」とはただそれだけのことだ。生物種にはラマルクの言うような「より高等な存在を目指す意志」はない。万が一そのような意志があったとしても、誰が生き残るのか決めるのは自然淘圧力であり、決して人間自身ではない。「選民思想」は人類種の持っている遺伝子プールの多様性を損なうものであり人類種全体のエントロピー値の増大に直結しかねない危険な模倣子だ。

このように思想や理論は、それを生み出した本人以外の人間が誤った解釈をしやすい情報体である。対話形式で伝達される場合ならば、重大な複製エラーが発生したとしても本人がそれをリアルタイムで修正して再伝達することができる。だが書物などテキストで情報子が伝達された場合は、そこで重大な複製エラーが起こってもそれをリアルタイムで修正することができない。情報子は突然変異を起こした状態で読者の脳内に繁殖し始める。読者は自らの脳内で変異した思想や理論をまた別の誰かに伝達する。これを何度も繰り返すうちに、思想や理論はオリジナルと全く違うモノへと変異していく。例えば現在のキリスト教の教義なども、二千年の歴史の中で複製と淘汰を繰り返すうちに、おそらくはヨシュア自身が悟って語ったそれとは似ても似つかない姿に変異してしまっているのではないだろうか。そしてわたしの書いたこの概論も、人間から人間へ伝達され複製されていく過程の中で突然変異を起こし、わたしの中にあったオリジナルのそれとは別のモノへと変異していくだろう。それによって進化適応に成功して大量繁殖するか、あるいは環境へ適応できずに自然淘汰されるのかどちらかだ。

情報子伝達の難しさ
「構成情報子の多い情報体を人間の脳から別の人間の脳へと変異率0%で自己複製することは極めて困難である。」

(以下ブログ掲載時に加筆)
情報子の自己複製エラーの分かりやすい例として「伝言ゲーム」を挙げよう。伝言ゲームはグループ内でメッセージを順に伝え、正確に伝わらない様を楽しむ遊びで、世界各国に同様の遊びが繁殖している。以下wikipediaからの複製だが、あるグループが一列になり、列の先頭の人に、元となる一定の言葉(メッセージ)を伝え、伝えられた人はその言葉を次の人の耳うちし、それを最後の人に伝えるまで繰り返し、最後の人は自分が聞かせてもらったと思う言葉を発表し、元の言葉と発表された言葉が一致するかどうか、またどの程度違っているかを楽しむ遊びである。

「伝言ゲーム」から分化した亜種として、言葉ではなく絵で伝言する「お絵描き伝言ゲーム」がある。こちらの方が情報子が複製のたび欠損して絵が変異していく過程が可視化されて面白い。

 →情報子概論 Ⅳ-2. キャラクター(模倣子生物)の進化その1へつづく

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