情報子概論 Ⅳ-2. キャラクター(模倣子生物)の進化その1

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情報子概論 Ⅳ-1. 社会学ダーウィニストたちの過ちへ戻る

Ⅳ. 情報子進化の具体的事例
2. キャラクター(模倣子生物)の進化その1

ドラえもん、ピカチュウ、プリキュア、ゴレンジャー、などの日本のアニメーションキャラクターは今や世界中の子どもたちに愛されている。イタリアではドラえもんが大流行し、ブラジルではドラゴンボールが高視聴率を記録している。日本の漫画も海賊版やP2Pも含めれば数十ヶ国語以上で翻訳されて読まれている。

現在、アニメーションキャラクターの中でも特に有名で大繁殖しているキャラクター(模倣子生物)は何か。そう、ご存知ミッキーマウスだ。ウォルト・ディズニー(1901年-1966年)が生み出したとされる二足歩行ネズミはこの50年のあいだに世界中へ自己複製を繁殖させた。それは、実に多くの人間の脳内に子孫を残した。このミッキーマウスのような模倣子生物にも遺伝子性物のような進化適応は起こっている。1928年の「ギャロッピン・ガウチョ」「蒸気船ウィリー」に登場するミッキーマウスは現在の形質とは全く異なっている。黒くてヘンテコだ。

そして50年のあいだに作り手の脳から脳へと伝達されていくうちに、突然変異が生じ、何十種類もの変異ミッキーマウスが誕生した。その中であまり可愛らしくない形質の変異ミッキーマウスは自然淘汰され、より子どもに愛されて記憶された変異ミッキーマウスだけが生き残っていくことで、ミッキーマウスはさらなる繁殖と進化適応を続けた。その過程で現在のミッキーマウスを構成する情報子が自然選択され、現在のミッキーマウスになった。ミニーマウスやドナルドダックはミッキーマウスから分化したミッキーマウス亜種に分類できる。

このようなキャラクター(模倣子生物)は何もアニメーションの中だけではない。神話や民話に登場する英雄(桃太郎やアーサー王)、怪物(雪女やミイラ男)、人格化されたモノに限らず宝物や建造物も模倣子生物である。もちろん毎年12月になると大繁殖するサンタクロースも模倣子生物だ。これらのキャラクターたちも長いあいだに人の世で語り継がれながら突然変異と自然淘汰を繰り返して生き残ってきた勝ち組の情報子だ。

また、キャラクターには空想の産物だけでなく、有名人や歴史上の偉人など実在の人物も含まれる。どういうことか説明すると、我々の知っている坂本龍馬は実際の坂本龍馬ではなくそこから複製された坂本龍馬模倣子であるということだ。実際に本人にあったことのある人間はもう生きていない。我々は書物や口伝によって複製され保存された坂本龍馬模倣子を坂本龍馬自身だと思い込んでいるに過ぎないわけだ。TVで観る有名人も全てキャラクターに分類される。例えばわたしがレディガガを知っているとすると、それはレディガガ模倣子が脳内に複製され保存されたということになる。場合によっては脳内に複製された偉人や有名人の模倣子が複製先の人間の行動様式に支配力を及ぼすこともある。

これらのキャラクターはラジオ、テレビ、映画、雑誌、漫画、口コミ、インターネットなどあらゆるメディアの中でニッチを奪い合う熾烈な生存競争を続けている。(※放送枠やストレージ容量そして誌面にも容量限界がある。人間の脳内の容量には充分な余裕があり多様なキャラクターを保存することが可能だが金銭と時間は限られる。)

補足:サンタクロース進化論
サンタクロースは進化適応に成功したキャラクター(模倣子)だ。その起源には諸説あるが聖ニコラスという牧師とされている。サンタクロースは資本主義社会の中で進化適応しながら繁殖を続けた。そしてコカコーラ社がキャンペーンに使用した赤い服を着たサンタクロースが他のサンタクロース亜種を一気に淘汰して、現在のサンタクロース・ニッチの大部分を占めるようになった。

興味深いのは、サンタクロースが来訪する手段と格好に地域差があることだ。ハワイには水着を着てサーフィンやカヌー乗ってやってくるサンタクロース亜種がいるそうだ。赤い服のサンタクロースは常夏のハワイでは違和感があり適応できなかったのだろう。孤島で独自進化を遂げた水着サンタクロースはハワイ固有種となったわけだ。遺伝子だけなく模倣子も気候や地形などの地球環境圧力を受けるという事実はとても面白い。ちなみに暖炉の少ない日本のサンタクロースは煙突ではなく窓から入って来る。

模倣子進化は遺伝子進化よりも、時間的にも空間的にも超高速で進行していくので、サンタクロースなどのキャラクターの頒布を生物学的手法で分類していけば遺伝子進化の研究にも大いに役立つだろう。

 →情報子概論 Ⅳ-2. キャラクター(模倣子生物)の進化その2へつづく

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