情報子概論 Ⅳ-2. キャラクター(模倣子生物)の進化その2

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Ⅳ. 情報子進化の具体的事例
2. キャラクター(模倣子生物)の進化その2

ミッキーマウスやドラえもんをしのぐ繁殖力を持ち、無数の亜種が存在する史上最強のキャラクター(模倣子生物)とは何か。

それは「神」である。「神」が本当に存在するかしないかということはこの概論内では議論しない。それは情報子を語る上では全くどうでもいいことだからだ。ここで言う「神」とは「神」そのものではなく「神の模倣子」のことだ。

神の模倣子がここまで多様化したのは、それが誕生したときには現在のようなマスメディアが皆無だったからだと推測できる。最初に誰の脳内に発生したのかは不明だが、その一番最初の神の模倣子は、人々の口コミしか模倣子伝達手段がなかった。口コミというのは、とても不安定な模倣子伝達手段である。その不安定さが伝言ゲームという遊びになることは以前に述べた。口コミで人間の脳から脳へと伝達される過程で次々と変異を起こしていったことは確実である。そこで多様な神の変異種が誕生したのだろう。いくつかの変異種は人々のココロを惹き付けてやがて信仰の対象となった。多様化したまま変異種が生き残ったのは、人間の住んでいる環境の多様性にある。四季の変化や地震の多い地域に住んでいる人間には、永久不変模倣子は生き残りにくくて、輪廻転生模倣子や八百万神模倣子がニッチを獲得した。逆に気候変化乏しい巨石文明においては、永久不変模倣子や唯一神模倣子の方が繁殖に成功した。

世界で絶えることのない宗教戦争の数々は、情報子学的に解釈すると、長い歴史の中で交配できないほどに分化した神の模倣子の変異種たちが、人間の脳内のニッチを激しく奪い合っている生存競争だと捉えることができる。そして模倣子を保存するために人間同士が殺し合っている生存競争だと考えることができる。そして模倣子を保存するために人間同士が殺し合っているという事実が示すのは、「遺伝子の保存よりも模倣子の保存が優先される場合がある」ということだ。

このように遺伝子の保存にとって有害な模倣子は、エボラウィルスやハンタウィルスのような殺人ウィルスと同じく感染者の適応力を著しく下げるので、長期的には非効率な情報子だと言える。従って長期的には生存し得ないのだが、マスメディアの発達に伴い模倣子は高速で広域に伝達され、また粘土板から光ディスクなど人間の脳以外の記録媒体にも保存されるようになった。これは「「模倣子にとって遺伝子の保存ということが自然淘汰圧力として働かなくなった」あるいはその圧力が非常に弱くなったということを意味している。

例えば、狂信的な教団の教祖が自殺しても処刑されても、教祖が書き残した書物や教団の起こした事件などを報道するニュースが連日TVやネットで放送され続けることで、危険な模倣子は我々の脳内を含む広大なネットワークで繁殖を続けることになる。大多数の人間の脳内では危険な模倣子は適応できずに淘汰されるが、一部の人間の脳内では複製を残すことに成功するだろう。そしてそこから新たな教祖や教団が誕生することになる。メディアとネットワークの発達によって遺伝子の保存に有害な模倣子さえも容易には自然淘汰されず、次世代へ保存されるようになってしまったのである。

 →情報子概論 Ⅳ-3. 類似環境圧力と類似進化へつづく

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